桜も咲き、春まっさかりの4月。新しい環境や出会いに少しそわそわしながらも、ふと立ち止まって季節を味わいたくなる頃です。桜の風景や、どこか懐かしい記憶に寄り添いながら飲む一杯は、この時期ならではの楽しみかもしれません。
2026年4月も、イラストレーター・natsuruによる、ビールとの日常を描いたビールカレンダーをお届けします。月はじめの気持ちの切り替えとともに、スマートフォンの画面をビールで染めてみませんか。
連載「いつもの日常に、わたしとビールと。」
おうちでゆったりとくつろいでいるとき、はたまた外へでかけたとき。いつでも、どんなときでも寄り添ってくれるビールたち。そんなビールと過ごすなにげない日常を、イラストレーターnatsuruが描きます。

(これまでの「いつもの日常に、わたしとビールと。」はこちら)
おうちでゆったりとくつろいでいるとき、はたまた外へでかけたとき。いつでも、どんなときでも寄り添ってくれるビールたち。そんなビールと過ごすなにげない日常を、イラストレーターnatsuruが描きます。

(これまでの「いつもの日常に、わたしとビールと。」はこちら)
香る春

春のやわらかな陽気に誘われて、久しぶりに祖母の家を訪ねた。縁側にはあたたかい日差しが差し込み、どこか懐かしい匂いがする。「家の掃除していたんだ」という祖母。部屋の片隅には押し入れの中に入っていたと思われるものが重ねられている。ふと、古びた花札の箱が目に入った。「やってみる?」と差し出されて、少しぎこちなく札を手に取る。
ぱちり、ぱちりと札を合わせる音。梅や桜、藤に紅葉——季節を映した絵柄を眺めていると、時間の流れがゆるやかにほどけていく。勝ち負けよりも、この時間そのものが楽しくて、気づけば何度も札を配り直していた。そしてやっぱり祖母は強かった。
ひと息つこうと取り出したのは、TWO RABBITS BREWING COMPANYの「GOSE WITH SAKURA-MOCHI」。塩漬けの桜葉を使用し、桜餅を思わせるやさしい香りのビール。「おばあちゃんは飲めないから」というので香りだけ嗅いでもらうと「いいにおい」とつぶやいた。
ひと口飲めば、春の和菓子のようなやわらかさと、すっきりとした酸味が心地よく広がる。
花札のなかの春と、グラスの中の春。祖母と並んで過ごす午後は、札をめくる指先と、ビールの余韻が重なって、静かに季節が巡っていくのを感じていた。
Illustration:natsuru(@NaTsuRuuuu)
Text:山吹彩野
\待ち受けにしてみて/


お酒は二十歳になってから。
