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Column 趣味は自宅でビールづくり、という世界

2021/07/05


趣味は何ですか?

はじめましての会話の種として「好きな食べもの」と「出身地」にならぶこの定番の質問に「おうちでビールをつくること」と答える人たちがいます。

日本では聞き慣れないこの趣味のある暮らしを知りたくて、来年夏に(最長)3ヶ月、アメリカに行くことにしました。

ホームブリューイングとは?



こんにちは!『Mukai Craft Brewing』の髙羽 開です。

新米ビール職人のコラム「拝啓、ビール職人になりました。」、第8回の今週のテーマは「ホームブリューイングの世界に恋い焦がれて」です。


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そもそも「ホームブリューイング」ってなんぞや?のお話からすると...

家(Home)で醸造(Brewing)、つまり、"おうちでビールをつくること"。日本語だと「自家醸造」って訳されたりします。

欧米では趣味のひとつとして根付いていて、アメリカでは2017年のデータで約110万人の方が趣味でビールづくりを楽しんでいます。(データ引用元:Homebrewers Association『1.1 Million Americans Homebrew Their Own Beer』


こちらの写真は、うちの醸造長のKenさんがロサンゼルス在住時代に自宅の庭でビールをつくっている様子です。Kenさんのようにホームブリューイングを通じて自分でビールをつくることの楽しさやビールの世界の奥深さを知り、知識と経験を積んでからプロになる人がアメリカではたくさんいます。

「友達を自宅に招いて自分でつくったビールを振る舞いながら庭でBBQ、月に何回かはホームブリュークラブの仲間で集まってお互いのビールの試飲会や勉強会、夏には地域のホームブリュワーがつどってビアフェスを開催、

    ︙

もうね...最高よ」

とKenさんがよく話してくれます。

ビールを販売して売上や利益をつくる必要性のあるプロとは異なる、ビールづくりを楽しむことをただただ追求する世界がそこにはあるんだそう。

Kenさんからホームブリューイングの話を聞いてから、「自分がつくったビールを飲みながら友達とお庭でBBQ」がやりたい遊びぶっちぎりの第1位です。

ビールをつくる日常 in USA



アメリカにはホームブリューイング用品やビールの原料を取り揃えたお店もあり、ロサンゼルスだけでも10以上のお店があるそうです(ロサンゼルスは東京の半分ほどの大きさ)。

(話が逸れますが、お店の窓に書いている、
「Beer is living proof that God loves us and wants us happy...」
「ビールは、神が我々を愛し、我々の幸せを願っていることを表すいい見本である...」
という名言の右下にアメリカ建国の父の1人にも数えられる『ベンジャミン・フランクリン』の名前がありますが、ネットでいろいろ調べたところ実際は彼の言葉ではないそうです)

気になる店内はというと...


こんな感じでホームブリューイングに使う器具や原料が所狭しと並べられています。


ホップの香りで充満してそうな冷蔵庫...


店員さんとビールづくりに関してあーでもないこーでもないと言いながら買い物をする週末。最高そう過ぎます。


そして、夏には複数のホームブリュークラブが集結して、盛大なビアフェスが開催されます。


コロナ禍で着々と積もり積もっているオフラインイベントへの渇望が爆発しますね...

日本は超マイノリティ



一方日本では、アルコール度数1%以上の飲み物をつくるには免許が必要になります。

明治32年(1889年)に自家醸造が全面廃止され、昭和28年(1953年)に「酒税法」の制定と一緒に免許制が定められました。そのあとも何度か法改正がなされながら現在に続いています。この酒税法によって、ビールを含むアルコール度数1%以上の飲み物が「酒類」として定義されていて、製造免許を持たない人が酒類をつくることは法律で禁止されています。

つまり、日本では免許を持たずにおうちでビールをつくることは犯罪となります。

日本におけるお酒づくりの免許制については、ビールファンの方であればご存知の方も多いかもしれませんが、ここで気になるのは「海外ではどうなんだろう」ということ。いい機会なので調べてみました。


世界196カ国調べるぞ!と意気込んで調べ出したはいいものの、英語であってもネットに情報が全然ない国が結構あったので、G20の構成国だけまとめました(EUは除いています)。

基本的にお酒が飲めないイスラム教の国であり"世界イチ厳しい禁酒国"とも言われるサウジアラビアを除き、主要先進国でホームブリューイングが合法ではないのは日本とフランスだけでした。「海外ではホームブリューイングは合法の国が多い」というのは、なんとなく聞いたことがありましたが、ここまでマイノリティだったとは...

そんな日本ですが、2019年には『伊勢角屋麦酒』の代表取締役社長でもある鈴木成宗(なりひろ)さんが『日本ホームブルワーズ協会』を立ち上げられて、日本でのホームブリューイング解禁に向けた取り組みをスタートされています。

【関連記事】「家でビールがつくれる?」ホームブルーイング解禁への活動がスタート!発起人に話を聞いてみた。

個人でも入会できるので、気になる方はホームページを覗いてみるといいかもしれません。

アメリカにいくぞー!



とはいえ、日本でホームブリューイングが数年のうちに解禁されることはおそらくありません。

現在、Mukai Craft Brewingで醸造の修行をしているとはいっても、やっぱり自分ひとりで何度も何度もビールをつくって実験を重ねることが成長への近道であることはおそらく間違いありません。そして日本ではそれができません。

そんな現実を前にどうしたもんかと思っていたのですが、つい先日、醸造長のKenさんが不意に「そういえば開、アメリカに行ってくるといいよ。ホームブリュークラブの仲間を紹介するよ」と一言。

戦慄しました(いい意味で)。

瞬時にお言葉に甘えて、来年の夏にアメリカ・ロサンゼルスに行くことになりました。ビザなしで滞在できるMAXの期間である3ヶ月間、ホームブリューイングの世界を体感してきます。

2023年の独立・ブルワリー(醸造所)立ち上げに向けたビールのレシピ開発もその期間でできそうで、わくわくです。アメリカ滞在の様子もこちらのコラムで書けるといいなと思っています。

1年間しっかり準備して実りある滞在にするぞー!

「自分がつくったビールを飲みながら友達とお庭でBBQ」も実現するぞー!

おー!


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ここまで読んでくださってありがとうございました。

今週もみなさんがおいしくビールが飲めることを願っています!
それでは、また次回。


Cheers(乾杯)!


【合わせて読みたい】
ビールの世界にドン引きすることがあります。

こんなブルワーになりたくて、こんな人になりたい人が上司にいます。

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kai takaba ライター

新米ビール職人。高知県の『Mukai Craft Brewing』での修行を経て、現在、自身の醸造所とブランドを立ち上げ中。ビールづくりを通して「調和を生み出す補助線を引くこと」を目指しています。

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