ベルギーは面積が九州ほどの小さな国にもかかわらず、ビールの銘柄が1,500以上、醸造所の種類が200以上もあるビール大国です。日本でも「ベルギービールウィークエンド」をはじめ、ベルギービールを楽しめるイベントが数多く開催されています。
先日神楽坂「la kagu」で開催されたイベント「ベルギービールを愉しむ夕べ」において、本場の文化を学びながらベルギービールの飲み比べが行われました。
文化や背景を知ることでベルギービールはもっと楽しくなる!イベントの内容を徹底リポートします。
講師2人のトークでイベントがスタート!
会場には幅広い世代のビール好きの皆さんが集まりました。講師をつとめるのは、ベルギービール広報センター代表の佐藤ひとみさんと、小西酒造(株)のヨーリス・ヴェルメーレンさんの2人です。
佐藤ひとみ(さとう・ひとみ)
1998年ブリュッセルに本部を置くBelgian Brewers(ベルギービール醸造所組合)の意向を受け、日本に「ベルギービール広報センター」を設立、代表に就く。ビールのほか、ベルギーの食文化などのセミナーやプロモーション活動も行う。2007年ベルギービールの騎士団より名誉騎士を授与される。2010年ベルギー最大のビールイベント「BELGIAN BEER WEEKEND」を日本に誘致、実行委員会メンバーとして「ベルギービールウィークエンド東京2010」を初開催。以後、毎年実施し2018年は6都市7カ所で175,500人の来場者を記録。
(http://www.lakagu.com/shinchosha-event/shinchosha-event-5056/より引用)
Joris Vermeulen(ヨーリス・ヴェルメーレン)
1984年アントワープ生まれ。2009年ベルギーのルーヴァン大学日本学科卒業。在学中(2006~2007年)に信州大学に留学。2011年に来日、小西酒造(株)に入社。
(http://www.lakagu.com/shinchosha-event/shinchosha-event-5056/より引用)
意外と知らない!ベルギーのビール文化について学ぶ
ベルギーは面積が3万平方キロメートルほどの小さな国。公用語はベルギー語?と勘違いしがちですが、国内で話されているのはオランダ語、フランス語、ドイツ語です。
ベルギービールはユネスコ無形文化遺産に登録されているのを知っていますか? ベルギーの人々にとって、ビールはまさに生活の一部。そのため、“クラフトビール”という概念や言葉がありません。
ベルギーの法律では16歳からビールが飲めます。講師のヨーリスさんは、よく学校帰りにビールを飲んでいたそうですよ。うらやましい……!
また、ヨーリスさんの実家にはビールグラス専用の棚があるとか。これは、ベルギーでは普通のことなのだそうです。
続いて「発酵」の話へ。
ビールは4つの発酵方法によってつくられますが、なかでも「自然発酵」と「複合発酵」はベルギービールならでは。この2つは自然に生息する天然の酵母を使うもので、現代の製法ではあまり見かけません。
また、種類が多様なのもベルギービールの特徴のひとつ。
佐藤さんいわく、ビールを10種類のタイプに分け、それ以外のものを「スペシャルビール」と位置づけるのが一般的だそうです。
グラスの形にこだわるのもベルギービールの特徴です。香りを楽しむために口が広がったものや、持つ部分に厚みがあって体温が伝わりにくいもの、長時間泡を持続させるチューリップ型など、ビールの味わいに合わせてグラスを使い分けます。
「日本はグラスの種類が少ない!」と、ヨーリスさんはショックを受けたそうですよ。
いざ試飲!ビールの違いを体感してみよう
お待ちかねの試飲タイム!ビールのラインナップはこちらの6種類です。
■ヴェデット・エクストラ・ホワイト<ホワイトビール>
小麦を使用したホワイトビールは苦みが少ないのが特徴ですが、こちらはとてもすっきりした味わい。後味はドライで、食事のお供としてもおすすめです。
瓶の底に酵母がたまるので、軽く振ってから飲むのがコツ。ビールをいちばんおいしい状態で飲むために、現地の人は注ぎ方にまでこだわっているようです。ヨーリスさんは「日本にはお酌の文化があるけど、ベルギービールは自分で注ぎたい!」と語っていました。
■デ・コーニンク<スペシャルビール>
アントワープを代表するビールで、「Bolleke(ボレケ)」の愛称で親しまれています。きれいな琥珀色が特徴的です。
程よいロースト感とコクがクセになるビールですが、後味はすっきり。見た目以上に飲みやすいビールです。するっと飲めてしまうので飲みすぎには注意かも?
■ウェストマール・ダブル<トラピストビール>
修道院の中でつくられるのがトラピストビール。修道士さんが管理をし、売り上げの一部はチャリティーとして活用されることもあるのだそうです。トラピストビールを扱う修道院は、ここ5年のうちで増加傾向にあります。
麦芽の濃厚な甘みとコクを堪能できるビールです。爽やかな苦みが全体の味を引き締め、心地よい余韻を残します。アルコール度数は7%と高めなだけに、少しずつ味わって飲みたい味わいです。
■ブーン・グース<ランビック・ビール>
すっぱいビールブームのさきがけになったのがランビック・ビール。ハーブや柑橘といったフルーティーな味わいと、強めの酸味が楽しめます。
樽で乳酸発酵させることにより、ランビック特有の酸味を生み出します。後味はドライですっきりしているため、濃いめの味付けがされた料理と合わせるのもおすすめです。
■ドゥシャス・デ・ブルゴーニュ<レッド・ビール>
レッド・ビールは「複合発酵」によってつくられます。ベリーを思わせる爽やかな香りとほのかな酸味が特徴で、後味に甘みを残すビールです。
オーク樽で熟成させた独特の酸味や甘みがあり、大きめのグラスに入れて香りを楽しみたいビール。一度飲んだらクセになる、複雑な味わいかも?
■リーフマンス<フルーツ・ビール>
チェリーをベースに18カ月間熟成させ、ベリー類のジュースをブレンドしたフルーツ・ビールです。アルコール度数は3.8%と飲みやすいのが特徴。
苦みはほとんどなく、フレッシュなフルーツの味わいをそのまま楽しめます。スイーツとの相性もいいですし、氷を入れて冷やして飲むのもおすすめです。
ベルギービールはとってもユニーク!
長い歴史をもち、ベルギーの人々にとっては欠かせない存在ともいえるのがベルギービールです。種類が豊富なので、好みのものがかならず見つかるかも? ビールの歴史や国の事情を知って飲むと、ベルギービールをより楽しめます。ぜひいろいろな銘柄にトライしてみてくださいね。
ベルギービールを愉しむ夕べ
○日程:2018年11月8日(木)
○時間:開場18:45~ / 開演19:00 / 終了20:30予定
○会場:la kagu 2F soko