今さら聞けない、ビールのはなし。 Column ビールって太りやすいの? 今さら聞けない、ビールのはなし。

2018/08/26


こんばんは!ビールを飲むことでなんとか残暑を乗り越えようとしているライターきのこです。

ビールを愛してやまないビール女子の皆さん、ビールって太りそうなイメージがありませんか?実際はどうなんでしょうか。今回は「ビールは太りやすい飲み物なのか?」について考えてみましょう!


そもそもアルコールのエネルギーは?

ビール、ワイン、焼酎、日本酒やウイスキーなど、お酒にはいろいろな種類があります。どのお酒であっても、種類に関わらず「純アルコール1gあたり7.1kcal」のエネルギーを持っているのをご存知ですか?

ちなみに3大栄養素はそれぞれ、炭水化物(糖質):4kcal/g、たんぱく質:4kcal/g、脂質:9kcal/g。これらと比べると、「アルコール」は「脂質」に次いでエネルギーが高いことが分かります。


アルコールのエネルギー量を知ろう!

せっかくなので、アルコールのエネルギー量はどれくらいなのか、計算してみましょう。(少し難しいと感じた場合は、飛ばして次に進んでくださいね。)

1gあたり7.1kcalのエネルギーをもつ「純アルコール」とは、お酒に含まれるアルコール(エチルアルコール(C2H5OH))の量のことで、次のような計算で求めることができます。


『お酒の量(mL) × アルコール濃度(度数/100)× アルコール比重(0.8)』



例えばアルコール度数5%の500mlのお酒は、アルコールだけで約142kcalのエネルギーがあることが分かります。



「お酒のエネルギー」は、上記の「アルコールのエネルギー」に「原料のエネルギー」を加えた数値で構成されます。

原料のエネルギーは、ビールやワインに含まれる糖質、カクテルの果汁、チューハイやハイボールをつくる時の割りものなどから得られるエネルギーのことです。


ビール・発泡酒・新ジャンルで比べてみると…

ビール・発泡酒・新ジャンルでどれくらい違いがあるのか、缶1本分(350ml)で比べてみましょう。


このグラフから分かることは…

・「金麦<糖質75%オフ>」は、機能性新ジャンルと呼ばれる糖質をカットした商品です。カットした糖質分のエネルギーが軽減されています。

・「サッポロ生ビール黒ラベル」と「淡麗極上<生>」を比べると、アルコール度数と糖質が同じ程度ですので、エネルギーも同じ程度です。

・「アサヒスタウト」はアルコール度数が8%と高く、糖質が多いため、エネルギーが高くなります。


これらをまとめると、

ビール・発泡酒・新ジャンルの別で、エネルギーの差はない。 アルコール度数が高いほど、また糖質が多いほど、エネルギーが高くなる。

ということが分かります。

普段飲んでいる銘柄がどのくらいのエネルギーがあるのか気になった方は、各メーカーのサイトで確認してみてください。ここではご紹介しませんでしたが、プリン体など他の栄養素の含有量も分かるんですよ。


各社の原材料名・栄養成分一覧のページ

キリンビール株式会社

https://www.kirin.co.jp/products/list/nutrition/beer/

アサヒビール株式会社

https://www.asahibeer.co.jp/products/list/

サッポロビール株式会社

http://www.sapporobeer.jp/product/nutrition/index.html

サントリービール株式会社

https://products.suntory.co.jp/beer/ingredient.html

オリオンビール株式会社

https://www.orionbeer.co.jp/brand/index.html


ビールと他のお酒を比べると…

続いて、ビールと、ビール以外のお酒の違いを確認しましょう。

下のグラフは「100mlあたりのエネルギー」をご覧ください。アルコール度数が高いお酒ほど、エネルギーが高くなっています。また、お酒をつくる過程によって糖質の含有量は変わり、それによりエネルギーが変わります。


100mlあたりのエネルギー お酒 日本食品標準成分表


これを見ると、ビールのエネルギーは低いことが分かります。ただし、注意して欲しいのは、このグラフが『100mlあたりのエネルギーを表している』ということ。

ビール100mlはすぐに飲んでしまいそうですが、ウイスキーを100ml飲むのは大変ですよね。ウイスキーなどのアルコール度数が高いお酒は、水や炭酸水で割ったり、ゆっくりとと飲むことが多いと思います。ですが、ビールやチューハイのようにアルコール度数が低いお酒は、ついゴクゴクと思っていた以上に飲んでしまうことがありませんか?
ここが落とし穴なんです。


ここで、これまでのポイントを振り返りましょう。


ビールって太りやすいの?

100mlあたりのエネルギーは高いとは言えないビール、太りやすいと言われることが多いですよね。

ズバリ、その理由は…

・アルコール度数が低いので、他のお酒に比べて量を飲んでしまいやすい。 ・味が濃いものや高カロリーのものを選びがち。 ・炭酸により食欲が促進され、ついつい沢山食べがち。
ということが考えられます。

思うまま飲んだり、食べたりすれば、カロリー過多で太ることは明らかです。ただ、これはビールに限ったことではありませんよね。アルコール自体のカロリーが高いので、飲み方を考えないと、全てのお酒が太る原因となります。


スマートなビールライフを送りましょう!

せっかくの美味しいビール、楽しまないと損ですよね。スマートに楽しむために、ビールもおつまみも、どちらも適量を考えましょう。

ちなみに目安として、ビールの中ジョッキ(500ml)1杯のエネルギーは約200kcalで、コンビニのおにぎり(たらこやおかかなど)1個と同じエネルギーと言われています。



今回ご紹介したことが、ビール女子の皆さんがスマートにビールを楽しむ助けになりますように。それでは今夜も乾杯!


<参考・引用文献>

(1)健康日本21推進全国連絡協議会. “健康日本21 各論(アルコール)”. 公益財団法人 健康・体力づくり事業財団

http://www.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21/about/kakuron/index.html, (参照2018-8-22)

(2)“e-ヘルスネット>情報提供>飲酒>アルコールの基礎知識”. 厚生労働省

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol, (参照2018-8-22)

(3)“日本食品標準成分表2015年版(七訂)”. 文部科学省

https://fooddb.mext.go.jp/, (参照2018-8-22)


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ライターの紹介

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数年前に突然ビールの奥深さに目覚めて以来、寝ても覚めてもビールのことばかり考えています。全国の大手ビール工場や醸造所に通い、ビール関連の本を読み漁り、さまざまな勉強会やイベントに参加。日本地ビール協会公認「シニア・ビアジャッジ」として、IBC(インターナショナル・ビアカップ)の審査員を経験(2018年、2019年、2020年)。日本ビール検定2級。日本ビアジャーナリストアカデミー10期生。紙面協力:ライフスタイル情報『CHANTO』。

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