かつて古代ヨーロッパでは、ホップのかわりにグルートと呼ばれるハーブを調合してビールが造られていたという事をご存知ですか?当時雑味を和らげるため、調合に使われたハーブは主にニガヨモギ、チョウジ、アニス、ハッカなどです。
現在版グルートビールとも言うべき、ハーブを使った「ボタニカル・ビール」の楽しみ方を、ハーブや薬草酒の知識で注目されている Bar Ben Fiddich(バー ベンフィディック) の鹿山さんに聞いてみました。
Bar Ben Fiddich 鹿山さん
ベースビールのセレクトはビアギークからも一目置かれる sansa(サンサ) の橋本さんです。
sansa 橋本さん 今回撮影した美しい空間も sansa
それでは、見た目にも美しい「ボタニカル・ビール」の世界をさぐってみましょう!
今回は南青山にシェアオフィスを運営する 301 企画の 「 Botanical Beer Lab. 」 開催時にうかがい、実際のハーブをビールと組み合わせて楽しむボタニカル・ビールを体験させていただきました。
ハーブの味を惹きたたせる、ベースビールはベルギーの醸造所ストゥルブのブラスコップウィット(オレンジ、レモン、コリアンダーなどの爽やかなスパイス感。酸味を感じるドライなホワイトビール)です。
使用するハーブは6種類
用意されたのは 6 種類のハーブ。順番にビールに入れていきます。この順番も鹿山さんのこだわり。ミントは香りが立ち上り、そこにセージを入れると香りは横に広がり交わいます。抑揚をつけて、変化とバランスにこだわったとか。さすが、ハーブ使いの伝道師です!
それぞれの特徴は下記の通りです。それぞれ鹿山さんに解説していただきました。
・スペアミント
ハッカ風の植物。古くからハーブとして用いられている。ペパーミントよりもハーブとして用いられた歴史は古く、聖書でハッカとされている植物はスペアミント。
・セージ(写真上)
シソ科アキギリ属の多年草または常緑低木。和名はヤクヨウサルビア。古来より薬用、魔除けの浄化として使用。
・タイム
北半球におよそ 300 〜 400 種類。その中でもヨーロッパ原産のコモンタイムがハーブとして有名で、タイムというと本植を指す事が多い。
・ローズマリー(写真上)
地中海沿岸地方原産で、シソ科に属する常緑性低木。生葉もしくは乾燥葉を香辛料、薬として用いる。
・ベニカナメモチ(写真上)
春先に葉が紅葉し、冬に緑色となる一風変わったバラ目バラ科カナメモチ属の常緑広葉木小高木。この時期(冬期)の若枝には甘いアマレットのような香りがある。
・黒文字(写真上)
クスノキ科の落葉低木。茶道の世界では枝を高級楊枝の材料とする。日本固有の香料木。
上記ハーブを順番に入れて行くと、少しづつ変化していく香りと味わい。植物の自然由来の香りに気持ちもリラックス。心地よさを誘います。まずはこの中から手に入りやすいハーブだけでも試してみてくださいね。
飲み終わった後も、グラスの中に小さなボタニカルガーデンが出現。いくつもサプライズポイントがあり、ホームパーティーでもおすすめですよ!
橋本さん推薦で、ベースビールのもう1つの提案。ゴーゼを使っても面白いとの事です。ハーブとゴーゼの塩味が合わさり大人のカクテルのように。
ボタニカル・ビアカクテルを作ろう
「ハーブの薬膳ビアカクテル」鹿山さん考案
さて、鹿山さんからハーブを使った薬膳ビアカクテルの作り方を教えていただきました。ハチミツの甘みとセンブリの苦みのバランスに酔いしれる、大人のビアカクテルです。
1. すり鉢にセンブリを 2〜3 かけ入れる。(センブリ茶でも可)
2. セージを 2 枚入れる。
3. ビール(ウィート)を 10 〜 20ml 加えて湿らせ、ごりごりとすり潰す。
4. ビールを 150ml 入れてなじませ、再びすり潰す。
5. ハチミツを 30ml 加える。
6. 茶こしで漉す。
7. シェーカーに氷を入れ、シェーク!
グラスに注いで、出来上がり。広がる香りと味わいを楽しみましょう。
ハーブの薬膳ビアカクテル
至福のビアカクテル、ウェルカムドリンクにもおすすめです。
この春、新しいビールの楽しみ方として、ぜひお試しくださいね。