古き良き街並みや活気あふれる夜市、山々や海の自然景観など、その独特な文化で訪れる人々を魅了する台湾。
近年クラフトビールシーンでも熱い注目を集めています。
数あるクラフトブルワリーの中でも、特に頭角を現しているのが「酉鬼啤酒(Ugly Half Beer/アグリーハーフ)」。台湾の食材や文化を取り入れた独創的なビールを生み出し、多くのビールファンを魅了する、先鋭的な存在です。
今回、編集部メンバーが、アグリーハーフの現地の醸造所やタップルームを訪問! その様子をご紹介します。
アグリーハーフとは
「酉鬼啤酒(Ugly Half Beer/アグリーハーフ)」は、2019年に設立された、台湾・新北市にあるクラフトブルワリーです。
創業者は、ニュージーランドとアメリカを背景に持つ Max Gilbert(マックス・ギルバート)氏と Harn Sun(ハーン・サン)氏で、台湾から新しいクラフトビールの文化を発信しています。
彼らが生み出すビールは、例えば、台湾の朝ごはんにインスピレーションを受けて作られた『TOASTea Lager(トースティーラガー)』や、台湾産のグアバをメインに使った『芭樂鹽小麥(グアバゴーゼ)』、台湾の麺料理「涼麺」をイメージしたビールなど、台湾の素材や食文化をコンセプトとしたビールを多く醸造しています。
「涼麺」をイメージしたビール
目を引くボトルパッケージや商品名のユニークさはもちろん、彼らがつくるビールのクオリティは、台湾のみならず日本をはじめとした海外のビール好きから熱い注目を集めています。今回は、編集部が台湾を訪問!アグリーハーフの現地の醸造所へ伺うことができたので、その様子をご紹介します。
現地の醸造所&タップルームに潜入
台北市からタクシーに揺られること、約20分。新北市にある、アグリーハーフのタップルーム併設の醸造所へ到着しました。静かな住宅街の中で、ピンクのネオンや、カラフルなアートで施されたシャッターがひときわ目を引きます。
迎えてくれたのは、アグリーハーフのセールス担当、 Nick(ニック)さん。創業当時から関わっているメンバーで、親切にガイドしてくださいました。よく仕事終わりにタップルームでビールを飲んでいるようなので、見かけたらぜひ声をかけてみて。
今回、ニックさんの案内で特別に、アグリーハーフの1階にある醸造所へお邪魔させていただきました。
足を一歩踏み入れると、開放感たっぷりの広々とした空間が広がります。
天井の高い部屋に、大小10個以上のタンクがずらりと並ぶ様子は圧巻! さすがのスケールです。
右奥に見えるタップルームでは、上から醸造所を一望することができます。
試験醸造用の小さなタンクでは、新作ビールや期間限定ビールが小規模でつくられます。最近では、ゆずをふんだんに使った『ゆずサワー』をつくっていたんだとか。
ここは、完成したビールを瓶に詰めるパッケージングルーム。イタリア製の大きな機械を使い、一度で 3,000本以上の瓶詰めを行うとのことです。
まだボトルに貼られる前の、『TOASTea Lager(トースティーラガー)』のデザインシールを発見。台湾のデザイナーが手がけたイラストで、とってもキュート!
他にも、醸造所内には、タンクやケースなどの至るところに、“出っ歯スマイリー” のロゴが! もし醸造所に入るチャンスがあれば、ぜひ “出っ歯スマイリー”を探してみて。
アグリーハーフの魅力に触れるタップルーム
続いて、2階に併設されたタップルームへ。タップルームは、水曜日・金曜日の17時〜23時のみ開放されています(※2024/09/27時点)。
入り口手前の通路には、これまでアグリーハーフが生み出してきた歴代のラベルデザインがずらり!ネオンに照らされた壁にぎっしりとポスターが貼られており、改めて、アグリーハーフがつくるビールの幅の広さと多彩さを感じることができました。
ラベルのデザインは、毎回異なるデザイナーが手がけるそうで、どれも独創的で目を奪われるものばかり。よく見ると、日本語のポスターがあったりして大興奮。全部かわいい。思わず足を止めてじっと見入ってしまいました。
タップルームの中に足を踏み入れると、明るく落ち着く雰囲気が広がっています。
訪れたのが金曜日の夜ということもあり、その日は近くに住む方や観光客の方で賑わっていました。オープンな雰囲気で、常連さん同士がビール片手に盛り上がっている様子。
タップを目の前にしたカウンター席やスタンディング席も良いですが、醸造所が見渡せるソファ席もおすすめです。銀色に光るタンクを眺めながら、ビール片手にまったり過ごせる特等席です。
店内のアートワークにもぜひ注目を。
店内の壁や棚には、アグリーハーフの世界観を存分に感じられる作品があちこちに飾られています。
宝探しの感覚で、ぜひビール片手に彼らの魅力に触れてみてください。
…さて、いよいよお待ちかねのビールタイムです!
自由な発想が生み出す、独創的なビールたち
最初の乾杯は、「昨日完成したばかり」とニックさんが提供してくれた『ゆずサワー』。
試験醸造用の小規模タンクでつくられ、樽生でしか飲めないという期間限定ビールです。ゆずの香りがふんだんに感じられ、ハッとするような爽やかな味わいと余韻が心地よい一杯。長引く夏の暑さを吹き飛ばすようなパンチがあり、飲んだ瞬間に「うまい!」と虜になりました。
こちらは、台湾のグアバと小麦、さらにサンゴ礁の塩をひとつまみ加えてつくられたという『芭樂鹽小麥(グアバゴーゼ)』。
ニックさん曰く、なんと、備え付けの梅のパウダーを加えて楽しむのがおすすめなんだとか。
ニックさんに教えてもらった通り、グラスの縁に梅のパウダーを付けて、ビールを注いで飲みます。見た目がカクテルのようでワクワクする…!
飲んでみると、グアバの新鮮な香りとほのかに甘さがありながら、しっかりと酸味を感じられる一杯。梅のパウダーが良いスパイスになって全体を引き締めてくれます。これは面白い!
続いて、タコのパッケージが印象に残る『夜市用Pils』。なんと、アグリーハーフが最初に手がけたビールなんだとか! 今回、特別に飲むことができました。
その名の通り、台湾の夜市のためにつくられたピルスナーで、軽い口当たりとすっきり爽やかな味わいが特徴。どんな料理と合わせても邪魔にならないシンプルな味わいです。
ちなみにこのタップルームは、フードの持ち込みが自由とのこと。「夜市や地元のお店で手に入れた食事を持ってきて、ビールと一緒に楽しむのがおすすめ」と、ニックさん。訪れる際は、ぜひ台湾料理とアグリーハーフとのペアリングを楽しんで!
その他にも、ひとしきりビールを飲み比べて大満足。アグリーハーフの自由な発想でつくりだされる独創的なビールに魅了された時間でした。
台湾のクラフトビール文化に触れる旅を
今回の訪問を通じて、より台湾を深く好きになるきっかけを与えてくれた、アグリーハーフ。台湾を訪れる際には、ビール好きにはぜひ足を運んでいただきたいスポットです。
醸造所やタップルームでは、ニックさんをはじめ、スタッフのみなさんがオープンでフレンドリーな接してくれ、ビールの味わい以外でも台湾のクラフトビール文化に触れることができました。
「僕たちは、台湾のビール業界でトップを目指しているんだ」と語るニックさん。次から次へと独創的なビールを生み出す彼らの今後に期待が膨らみます!
■ UGLY HALF BEER 酉鬼啤酒
◯住所:No. 9 號, Lane 116, Wugongsan Rd, Wugu District, New Taipei City, 台湾 248(Google Maps)
◯公式HP:https://www.uglyhalfbeer.com/
◯Instagram:https://www.instagram.com/uglyhalfbeer
アグリーハーフが飲める、日本のおすすめ店
ちなみに、日本で台湾気分を存分に味わいたいときにおすすめなのが、2023年11月に代々木にオープンした「シーシートーキョー (嘻嘻東京)」。台湾の台北にあるお店「シーシータイペイ」の姉妹店で、台湾在住のオーナーが手がけるビアバーです。
アグリーハーフのビールを取り扱っており、樽生やボトルで楽しむことができます。台湾風フライドチキン「大鶏排(ダージーパイ)」や台湾風煮込み「ルーウェイ」「花椒フライドポテト」など、本格的な台湾グルメとともに楽しんで!
■ シーシートーキョー (嘻嘻東京)
◯住所:〒151-0053 東京都渋谷区代々木1丁目41−12 フィルパーク代々木 2F
◯Instagram:https://www.instagram.com/xixi.tokyo/
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