ビアバーや酒屋に行ってメニューを見た時に、思わず二度見してしまった名前やラベルのビールに出会ったことはありませんか? 名前に隠されたストーリーを知ると、ビールを味わう楽しさがさらに増すかもしれません。今回はちょっと変わった4種類のビールの名前を紐解いてみました。
気持ちがおもむくまま新しいことにトライ
『僕ビール、君ビール。満天クライマー』
ほんわかした、かえる君のキャッチーな絵柄が印象的な「僕ビール、君ビール」シリーズ。5月にリリースされた『僕ビール、君ビール。満天クライマー』は、かえる君がボルダリングをしている姿がラベルに描かれています。
「満天クライマー」という名前は、「自分の価値観を大事にし、自分の気持ちがおもむくまま新しいことにトライする」という若い世代の人たちの価値観からヒントを得て考えだされました。
ラベルには、満天の空の下、ボルダリングというスポーツを通じて新しいことにどんどんトライする、かえる君の様子が表現されています。
そして『僕ビール、君ビール。満天クライマー』を醸造するヤッホーブルーイングにとっても、新しいビアスタイルの「Brut IPA」は挑戦だったそうです。「新しいことにトライする」という「満天クライマー」の名前に込めた想いの通り、多様なクラフトビールの楽しさを伝えるための挑戦として造られています。
『僕ビール、君ビール。満天クライマー』
- 〇発売日:2019年5月21日(火)
〇ビアスタイル:Brut IPA
〇容量:350ml
〇税込価格:288円
〇原材料:麦芽、ホップ
〇醸造所:ヤッホーブルーイング
〇URL:https://yohobrewing.com/bokukimi/
アメリカから遊びに来た巨大ロボット
『Far Yeast DAIDARABOT(ダイダラボット)』
アメリカ、ポートランドのブルワリーGigantic Brewing Company(ジャイガンティック ブルーイング カンパニー)とのコラボレーション。Giganticといえば、ビールのクオリティはもちろん、一度見たら忘れられないインパクトのあるラベルが特徴です。
そんなラベルに登場するのは「Ginormo」という名前のロボット。
せっかくのコラボレーションの機会なので、Giganticを象徴するロボットと掛け合わせたデザインにしようという話がFar Yeast内で持ち上がりました。
その後どんな名前にするかを考えた時に、当初、お互いの得意分野を掛け合わせたビールの味わいの特徴から「Juicy Saison」や「Summer saisonic」という名前の候補も。
最終的にはコラボレーションの意味合いがしっかり伝わり、ラベルのイメージともぴったり合致することから、日本全国で伝承される巨人伝説の総称「ダイダラボッチ」と、Gigantic の「ロボット」を組み合わせて「DAIDARABOT」(ダイダラボット)に決定。
ラベルはGigantic Brewing Companyのデザインで登場するロボット「Ginormo」が、ダイダラボッチとして山梨県小菅村にあるFar Yeast Brewingの源流醸造所に上陸した様子を表しています。どうやらコラボレーションのためにアメリカから小菅村に遊びに来たようですよ。
『Far Yeast DAIDARABOT』
- ※こちらのビールは完売となりました。
〇発売日:2019年6月13日(木)
〇ビアスタイル:JuicySaison
〇アルコール度数:6.7%
〇IBU:15~20
〇原材料:大麦麦芽・小麦麦芽・ホップ・小麦・オーツ麦・糖類
〇醸造所:Far Yeast Brewing源流醸造所(山梨県小菅村)
〇HP:https://faryeast.com/
猫とビールの意外でステキな関係。
『Neko Nihiki(ねこにひき)』
名前の通り2匹の猫が並んでいるラベルは、猫好きはもちろん、思わず手に取ってみたくなるのでは。
こちらはアメリカ、ポートランドのCulmination brewing(カルミネーション・ブルーイング)とのコラボレーションビールです。2016年にもコラボビールを造っていますが、今回のビールはトロピカルジュースのようなフルーティーでジューシーな味わいのNew England IPA。
ところでビールと猫に何の関係性が?と疑問に思われるかもしれませんが、海外の醸造所では昔から原料の麦芽をねずみから守るために「ブルワリー・キャット」と呼ばれる猫を大切に飼っているところがあります。
伊勢角屋麦酒社長の鈴木家の猫「ぎん」
実は、伊勢角屋麦酒社長の鈴木家には「ぎん」という名前の猫が、コラボ先のCulminationブルワーのトーマスの家には「ABBY(アビィ)」という猫がいて、やはり大切に飼われています。
今回猫が大好きな2人のオーナーのコラボレーションという事で名付けられました。ラベル写真の猫は左がぎん、右がアビィです。
『Neko Nihiki(ねこにひき)』
- 〇スタイル:ニューイングランドIPA
〇原材料:大麦麦芽、小麦麦芽、ホップ
〇アルコール度数:8%
〇IBU(国際苦味単位):35
〇容量:330ml
〇飲み頃温度:8~12℃
〇醸造所:伊勢角屋麦酒
〇商品紹介サイト:https://www.biyagura.jp/ec/products/217
偉大な作品に敬意を表して「バイバイ」。
『Bye-Bye Liberty(バイバイ リバティー)』
毎回ユニークな名前とビールでワクワクさせてくれる奈良醸造のビール。
ヘッドブルワーの浪岡さんがちょうどこのビールを仕込んでいたとき、ルパン三世の原作者、モンキー・パンチさんが亡くなったことをニュースで知りました。偉大な作品に敬意を表して、TVスペシャルシリーズの1作目だった「ルパン三世 バイバイ・リバティー 危機一髪!」から名付けられました。
こちらのビールはLiberty(リバティー)というホップを使っていますが、上品なホップから苦味を出すために前回ケルシュを造った時の4倍以上の量を使ったのだとか。
目指すビールの味わいのために妥協せずに使ったLibertyホップはどんどん減って無くなってゆきます。それを見た時にも思わず心の中でつぶやきます。「さよなら、リバティ。Bye-Bye Liberty」と。
こうして出来上がったビールは、するすると飲み進められる上品な苦味とほんのりフローラルな香りのケルシュに。「こんにちは、リバティ」。
『Bye-Bye Liberty(バイバイ リバティー)』
- 〇スタイル:Kolsch(ケルシュ)
〇アルコール度数:5.4%
〇醸造所:奈良醸造
〇URL:https://narabrewing.com/
いかがでしたでしょうか。名前に隠されたストーリーを知ると、ビールの世界がきっと広がって、ビールを味わう楽しさがさらに増すはず。ビールの香りとともに、名前やラベルのストーリーも味わってみてくださいね。