Column クラフトビールの聖地「ポパイ」直営ブルワリーが両国に登場!ビール造りの3つのこだわり

2020/08/31

麦酒倶楽部ポパイ 両国ブルワリー
東京・両国には、“クラフトビールの聖地”と称され、ファンが足繁く通うビアパブ「麦酒倶楽部ポパイ(以下、ポパイ)があります。常時70種類以上の樽生ビールが提供され、それぞれの銘柄に合わせて、ガス圧、温度、グラスや注ぎ方を変えているというこだわりのお店。国内外を問わず、選りすぐったクラフトビールが提供されます。

麦酒倶楽部ポパイ 両国ブルワリー
70種類という数もさることながら、行く度にラインナップが変わることもあり、毎回選ぶのが大変という嬉しい悩みが尽きないお店です。そんな選択肢が多いポパイで、ぜひ飲んでいただきたいのは、直営醸造所で造ったオリジナルクラフトビール。これまでは新潟県南魚沼市にある「STRANGE Brewing & Lab(以下、ストレンジブルーイング)」で醸造していましたが、2020年8月1日より「両国麦酒研究所 RYOGOKU LAB & BREWING(以下、両国ブルワリー)」で醸造したビールも飲めるようになりました!

今回は、稼働して間もない両国ブルワリーに突撃取材!小さいながらも、こだわりが詰まった醸造所をご紹介します!

■ポパイについて詳しく知りたい方はこちらの記事へ。
100タップの前でビールのおいしさに酔いしれる。「クラフトビールの聖地」麦酒倶楽部ポパイに行ってきた

住宅街の中で造るクラフトビール

麦酒倶楽部ポパイ 両国ブルワリー
両国ブルワリーは、ポパイの店舗から徒歩約13分の墨田区亀沢にあります。マンションや住宅、ちいさな工場などが建つ静かな住宅街で、近くにはすみだ北斎美術館も。


麦酒倶楽部ポパイ 両国ブルワリー
こちらがブルーハウスと呼ばれる麦汁をつくる設備です。写真左がマッシュタン(糖化釜)、右がケトル(煮沸釜)で、1回の仕込みで300Lの麦汁をつくります。

麦酒倶楽部ポパイ 両国ブルワリー
300Lの発酵タンクは6基あります。6基一度に届く予定だったそうですが、運搬途中でタンクの落下事故が発生し、1基の到着が遅れてしまい、最初は5種類しか仕込めなかったそう。

記念すべき5液種は『ナインハンドレッド ペールエール』『彩雲 ベルジャンホワイト』ケープコッドフォグNEIPA』『バーブドワイヤーダブルIPA』『“Hang ten” Home Stout(ドライスタウト)』で、8月1日にポパイで一斉に提供されました。

麦酒倶楽部ポパイ 両国ブルワリー
ブルーマスター(醸造責任者)は、「何杯でも飲めるような、きれいな味わいのビールが好き」という小林裕貴さんです。

小林さんは東京農業大学醸造科で酵母について学び、酵母に関係する職につこうと考えていたそう。就職活動中にクラフトビールと出会い、そのおいしさに感動し、クラフトビールの醸造に関りたいと決意。就職先を求め、地元である新潟を中心に何軒ものブルワリーにアタックしているうちに、ポパイの創業者・青木さんと出会い、ストレンジブルーイングに入職。新潟で5年の経験を積み、今回、両国ブルワリーを任されることになりました。

両国ブルワリーの3つのこだわり

麦酒倶楽部ポパイ 両国ブルワリー
1つめのこだわりは、自家培養したビール酵母を使い醸造すること。ストレンジブルーイングと両国ブルワリーでは、“酵母”がビール造りに最も大切だと考えています。

写真のように酵母は凍らせた状態で保管され、使用する前に試験管から取り出して培養します。

麦酒倶楽部ポパイ 両国ブルワリー
写真は培養中の酵母で、フラスコの底に白く見えるのが酵母です。最初は10mlから始め、100ml、1Lと、段階を踏んで必要な量まで増やしていきます。

このように仕込みの度に酵母を培養しフレッシュな状態で使うことで、安定した発酵が行われビールがおいしくできるのです。

麦酒倶楽部ポパイ 両国ブルワリー
こだわりの2つめは、純水装置を導入していること。

おいしいビールを造るためには、そのビールに合った水の硬度にする必要があるそうです。そこで、最初に純水をつくり、その後で硬度調整を行っているとのこと。純水とは、不純物が少なく純度の高い水のことで、主に塩類や有機物などがほとんどすべて除去された状態のことを指します。純水装置を導入しているブルワリーはとても少ないそうです。ビールの90%以上は水でビールを形作る大切なものなので、水にもとても手間をかけているんですね。
麦酒倶楽部ポパイ 両国ブルワリー創業者 青木辰男さん
最後のこだわりは“レシピ造り”です。ポパイでクラフトビールを提供してきた20年を超える経験を活かし、オリジナルビールのレシピを造っています。これまでも『ゴールデンスランバーペールエール』『ピッグヘッドIPA』などを始め、多くのレシピを造ってきました。

両国ブルワリーオープンの理由は?

麦酒倶楽部ポパイ 両国ブルワリービールを確認する店長 城戸弘隆さん
城戸店長に、どうして両国に新しくブルワリーをつくったのか尋ねました。これまでは新潟で創業者の青木さんがレシピの作成や監修などを行ってきましたが、最近引退をされました。そこで、青木さんの意思や想いを引き継いだ自分たちの目の届く場所で、ビールを造る工場をつくろうと設立に至ったそう。また、最近はストレンジブルーイングでは他の飲食店からの注文が増えてきたこともあり、ストレンジブルーイングは他の飲食店への提供専用両国ブルワリーはポパイ専用にしようと考えているとのこと。

新しく両国ブルワリーオリジナルレシピの考案を予定しているとのこと。まだ醸造を始めたばかりなので、すこし先の話になるそうですが、どんなビールが出来上がるのか楽しみです。

記念すべき1クール目のビールを飲んでみた

麦酒倶楽部ポパイ 両国ブルワリー
1クール目に仕込んだ『彩雲 ベルジャンホワイト(500ml、税別1,494円)』をいただきます。

もちもちした白い泡がのり、ビール自体は白濁しています。グラスに鼻を近づけると、ふわりと甘さを感じるもさわやかな香り。一口飲むと、ヨーグルト飲料のような酸味とやわらかな炭酸が心地よいです。苦みはほとんどなく、スパイシーな風味があり、後味はすっきり。暑い日には思わずゴクゴク飲んでしまいそうになります。

両国ブルワリーのこれからをつくるふたり

麦酒倶楽部ポパイ 両国ブルワリー
両国ブルワリーをひっぱっていく城戸店長と小林さん。これから二人三脚で、新しいことにも挑戦していくそうです。まずは安定供給ができるように、ビールをどんどん醸造していくとのこと。どんなビールが出来上がるのか、今からとても楽しみです。飲んでみたいビールのリクエストがあれば、お店で城戸店長に伝えてみては。

また、両国ブルワリーの見学も行っています。見学の後、ポパイでビールを飲むという楽しみ方もおすすめ!(工場見学は要予約

ビールだけでなく、料理も自慢のポパイ。今はお店に行けないという方に向け、料理とビールの通販も行っています。お店でも、おうちでも、お好きな場所でポパイのオリジナルビールと料理をお楽しみください!

麦酒倶楽部POPEYE

〇住所:東京都墨田区両国2-18-7 ハイツ両国駅前102号
〇TEL:03-3633-2120
〇営業時間
【月~金】ランチタイム:11:30~14:30
【月~土】ディナータイム:15:00~22:00(L.O. 21:30)
※東京都の要請を受け時短営業中です(記事公開時時点)。今後の状況により変更することがあります。
〇定休日:日曜日
〇座席数:80席
※現在は新型コロナウイルス対策で座席数を減らしています。
〇支払い形式:テーブル会計
〇公式ホームページ:http://www.lares.dti.ne.jp/~ppy/
〇通販サイト
・料理はこちら
・ビールは不定期販売。詳細はSNSをご確認ください。
〇Facebook:https://www.facebook.com/70beersontap
〇Instagram:beerclubpopeye.kido

両国麦酒研究所 RYOGOKU LAB & BREWING

〇住所:東京都墨田区亀沢2丁目23-7
〇URL:https://beerclubpopeyekido.wixsite.com/ryougokubrew
※工場見学受付中(詳細はポパイでお尋ねください!)


【おすすめ情報】
クラフトビールが飲める東京のお店を探せる!検索アプリ「ツナガルタップ」

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数年前に突然ビールの奥深さに目覚めて以来、寝ても覚めてもビールのことばかり考えています。全国の大手ビール工場や醸造所に通い、ビール関連の本を読み漁り、さまざまな勉強会やイベントに参加。日本地ビール協会公認「シニア・ビアジャッジ」として、IBC(インターナショナル・ビアカップ)の審査員を経験(2018年、2019年、2020年)。日本ビール検定2級。日本ビアジャーナリストアカデミー10期生。紙面協力:ライフスタイル情報『CHANTO』。

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