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飯塚麻衣子のビール遊学記 Column ビール工場へ潜入~貴族の世界 VS 労働階級の世界? 2 つのブリュワリー巡り~

2015/05/09

昨年末まで 2 年間に渡り英国に大学院留学し、ビールフェスティバルやエールビールに魅せられ、卒業論文のテーマまで「英国でのビールフェスィバルとブリュワリー(醸造所)の関係」とビール一色にしてしまった『飯塚麻衣子のイギリスビール遊学記』。 4 回に渡って連載します。

 

【過去の記事はこちら】

『イギリスビールの聖地”Burton-Upon-Trent”のビール博物館へ行ってきた!』

『駅のホームにパブ出現?ビールで巡る英国鉄道の旅』

 

今回は、旅行目的で行った湖水地方にある “Jenning's Brewery” と卒論目的で行ったサウスヨークシャー地方にある “Acorn Brewery” に伺いました。英国では、各地にブリュワリーが存在し、無料/有料でブリュワリー見学をすることが出来ます。(事前予約は必須です)

【飯塚麻衣子のビール遊学記】

まずは 1 カ所目、 “Jenning's Brewery” 。 1828 年創業の歴史あるブリュワリーで、近年は経営統合で英国の大手ビールメーカー Marston's グループの傘下ですが、伝統的なレシピで作るビールには定評があります。英国でも屈指の国立公園 Lake District (湖水地方/英国北西部、ロンドンより列車で約 5 時間)に位置し、日本人にはビアトリクス・ポター/ピーターラビット/ナショナルトラストなど観光で有名な地域でもあります。

今回は初めてのブリュワリー見学で、わくわくしながら向かいました。向かう途中の道にも “Brewery Lane” の表記があり、工場自体も「これが工場?」と思えるぐらいの素敵な趣。

【飯塚麻衣子のビール遊学記】

【飯塚麻衣子のビール遊学記】

【飯塚麻衣子のビール遊学記】

ツアーの待合室にあるパブもすごく素敵な雰囲気でした。こちらのパブにて、最後にビールの試飲を行います。通常のパブとしての営業も、もちろん行われています。

【飯塚麻衣子のビール遊学記】

 

平日であったため、ツアー参加者は私とその家族の計 3 名。プライベートツアーで、ブリュワリーのお姉さんが丁寧に案内をしてくれました。ビールの原料である、ホップ、モルト、水の説明から始まり、工場内見学へ。普段は絶対に見ることができない発酵中のタンクもこのとおり! ツアー中からのどが渇いて、ビールがほしくなってしまいました(笑)。 30 分の見学を終えて、お待ちかねのビール試飲へ! 趣のあるパブにて美味しいビールを試飲して、初ブリュワリーツアーをあとにしました。こちらは、ぜひ湖水地方での観光と合わせて、行っていただきたい場所です!

【飯塚麻衣子のビール遊学記】

【飯塚麻衣子のビール遊学記】

 

2 カ所目は “Acorn Brewery” 。 2003 年創業と、比較的新しいブリュワリーかと思いきや、伝統的なレシピやビールに込める DNA は、ブリュワリーの地、サウスヨークシャー地方が産業革命で繁栄をしていた時代からのものです。英国では、「サウスヨークシャー=ビールの聖地」とは別に、歴史的には「産業革命の地=労働者階級」というイメージがいまだに根強く残ります。そして、現在、各国で飲まれている Porter / Stout といった黒いビールは、ここサウスヨークシャー生まれといっても過言ではありません。

日本や、アメリカ、ベルギーなどの国々では、アルコール度数 5% 以上のビールは普通ですが、英国の伝統的なエールビールは 3% ~ 5% が普通です( IPA だけは、6% 以上ですが)。それも産業革命時代の名残で、もともとエールビール自体が英国北部の労働者階級(炭鉱や工場で働く人々)の文化であり、ランチタイムや休憩中に飲むことができるビールとして発達し、アルコール度数が低いものでないと「酔っぱらって仕事にならない!」といったエピソードがあります。またアルコール度数によってビールの酒税が異なったため、度数の低いビールを製造し、根付いたという話もあります。

歴史的なサウスヨークシャーの地にある “Acorn Brewery” に行ってきました。こちらは遊びではなく、卒業論文リサーチです! リサーチ目的でしたが、ブリュワリーの担当者が気を利かせてくれて、インタビュー前にブリュワリー内を見せていただくことが出来ました。原料~製造まで見ることができましたが、残念ながらこちらでは通常ブリュワリー見学を行っていません。

【飯塚麻衣子のビール遊学記】

【飯塚麻衣子のビール遊学記】

ブリュワリーにとって賞を受賞することは、商品のブランドを高めるためにも非常に重要なこと。こちらのブリュワリーにもたくさんの賞が飾られていました。約 30 分のインタビュー、約 10 分のブリュワリー見学を終え帰路につきましたが、うれしいサプライズのお土産も。ブリュワリーが何度も賞を受賞し、人気の “Barnsley Pride” とブリュワリーの T シャツをいただくことが出来ました。

【飯塚麻衣子のビール遊学記】

【飯塚麻衣子のビール遊学記】

【飯塚麻衣子のビール遊学記】

 

〇Jenning's brewery ホームページ: http://www.jenningsbrewery.co.uk/

〇Acorn brewery ホームページ: http://acorn-brewery.co.uk/

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飯塚麻衣子 ライター/コラムニスト

"東京出身/本業は観光業。2004-2005年、2012-2014年の約3年間イギリスに滞在。2回目の滞在時に、エールビールに目覚め、英国各地のエールビールフェスティバルにて、ビールを飲み歩く。そのせいか、イギリス大学院卒業論文は、「英国のエールビールツーリズムについて」。イギリス滞在中に飲み歩いた、英国各地のビールフェスティバル・ヨーロッパでのビー ル旅行記は、個人ホーム

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