豊かな自然に豊富な食材、そして神話の時代から「日本のひなた」として称されてきたほど温暖な気候と魅力の溢れる宮崎県。県庁所在地である宮崎市は、地元の方だけでなくビジネスや観光と多くの方が訪れる場所です。
全国的に有名な焼酎「黒霧島」の名産地である宮崎では焼酎文化が根強くあると感じる方も多いかと思いますが、年々醸造所が増えていて、県内のお酒イベントではブルワリーも多数出店するほど、クラフトビールもとっても熱いんです!
今回は、2024年に自社2ヶ所目となる醸造所を新たに立ち上げ、活躍の幅を県内外に広げている「B.M.B Brewery」を深掘り!直営のビアパブ「Beer Market BASE」にお伺いし、ブルワリー立ち上げのきっかけや今後の展望まで、熱い魅力をたっぷりお聞きしました。
宮崎駅から徒歩12分。直営ビアパブ「Beer Market BASE」へ!
「B.M.B Brewery」の直営ビアパブ「Beer Market BASE」は、宮崎の県庁所在地である宮崎市にお店を構えています。JR宮崎駅を降りると目の前には色鮮やかな周遊バスとヤシの木が。
日本全国の中でも温暖な気候な宮崎らしい、南国にいるかのような心地よさが出迎えてくれました。

「Beer Market BASE」は宮崎駅から徒歩12分ほど。「あみ〜ろ〜ど」を直進した先にあります。

新しいお店から老舗のお店まで立ち並ぶ通りを抜けた先に見えるのは「若草通り」。古着屋やカフェが立ち並び、宮崎市に住む若者の利用者が多いカルチャーの町として知られています。

どこか懐かしさも感じるアーケードを中心部まで進むと右手に見えてくるのが「Beer Market BASE」です。
「もっと進んだ先に『ニシタチ』という宮崎市随一の歓楽街があるんですが、僕はそこを”宮崎の渋谷”、この若草通りを”宮崎の原宿”と呼んでいます(笑)」と、ユニークさ全開でお迎えしてくれたのは「B.M.B Brewery」を立ち上げ、現在はオーナーを務めている松田温郎(以下、あつろー)さん。

宮崎県で生まれ育ち、高校卒業後は市内のお寿司屋での板前修行、その後バーテンダーとして3年間働いたのちに2012年にビアパブ「Beer Market BASE」をオープン。6年後の2018年に「B.M.B Brewery」を開業し、店舗や醸造所の経営やイベントなどでの営業を担っている異色の経歴の持ち主です。
木が基調となった店内は、海外のビアパブに来たような落ち着きがありながら、スタイリッシュな雰囲気。席はカウンター席のみで椅子が10脚ほど、カウンター向いの席の棚は荷物おきに利用したり、立ち飲み用の席として解放することも。
座席数についてあつろーさんに尋ねると「座席数は無限です!イベントなどでたくさんの方にお越しいただいた時は入り口前も解放するので、いかようにもやります(笑)」と、これまたユニークな回答をいただきました。

「Beer Market BASE」は2012年に宮崎市の上野町にオープンし、現在の店舗には2020年7月に移転しました。お店が入る前はアパレル店舗だったそうで、お店に入って左側の壁には試着用の鏡がそのまま残っています。
鏡に貼られているステッカーたちが、遊び心溢れる空間をより演出してくれています。
「Beer Market BASE」のもう1つの大きな特徴は開放的な調理スペース。カウンター席に座ると、どの席からも調理をするスタッフの皆さんの様子を見ることができます。仕切りのないオープンキッチンにした理由は、移転前の店舗で感じていたもどかしさを改善するためだとあつろーさんは話します。
あつろーさん「移転前の店舗はカウンターが4,5席しかなく、調理場から客席が見えない作りをしていたので、お客様とコミュニケーションを取りにくくなってしまい、もどかしさを感じていました。そのため、移転するにあたって、座席はカウンターのみにしてオープンキッチンにすることで常にお客様の様子が見えるようにレイアウトをしました。そのおかげもあって、1人でお店を営業する時でもお客様と会話を楽しみながら調理もできるので、このスタイルはとても気に入っていますね。」
多くの人に愛されるブルワリーが生まれるまで
宮崎ではまだまだ馴染みがなかった頃からビアパブを始め、現在では県を代表するブルワリーへと成長を遂げたB.M.B Brewery。その成長の軌跡には、あつろーさんの温かな人柄や大胆な行動力が織りなす様々なドラマがありました。
あつろーさん「バーテンダーから独立して『Beer Market BASE』をオープンした時は、実はビールに対して強い思い入れがあるわけではありませんでした。当時は宮崎にビアパブがなかったので、あったら面白そうだなという理由と、カクテルを作るよりビールを注ぐ方がシンプルだったので、お店としてやりやすいと思ったのがきっかけだったんです。今となっては自分でも驚くくらいビールの知識もない中で思い切って始めていました」
最初は特にビールが好きというわけではなかったと振り返るあつろーさん。しかし、ビアパブを運営していく中でもっとビールを知りたい、自分たちでつくりたいと思うようになったそう。
あつろーさん「最初はとにかく近くの酒屋さんから仕入れたビールを全部集めて販売していたのですが、物珍しさもあってお客さんもたくさん来てくれていたんです。だけどリピーターを獲得することができなくて。そこで初めてもっとビールのことを勉強しなきゃと思うようになって、必死に猛勉強しましたね。」
ビアパブの運営をしながらよりビールについて勉強を続け、まさに走りながら学んでいくを体現していたあつろーさん。そんなあつろーさんが自分たちでビールをつくりたいと思うようになったきっかけをくれたのが、同じく宮崎に醸造所を構える日本を代表するブルワリー「ひでじビール」の永野社長でした。
あつろーさん「ビアパブのオープン当初も宮崎のビールといえば『ひでじビール』だったので、仕入れさせて欲しいとお願いしたのが永野さんと出会ったきっかけでした。最初は仕入れ先のお客様という関係でしたが、話を聞いていくうちに永野さんがまだ日本で地ビールと呼ばれていた頃に倒産寸前だったひでじビールを再建したことや、ホップから酵母まで当初なかった材料を宮崎で生産してビールをつくっていることを知りました。ビールや宮崎に対する想いの強さを目の当たりにして、自分たちもいつかそのステージに立ってみたいと思うようになりました」
自分たちでビールをつくりたいと思ったあつろーさんは、思い切ってひでじビールの永野さんに「ビールをつくらせてほしい」とお願いをしたところ、醸造費用100万円を条件に承諾をもらえたそう。
そこであつろーさんは「僕らのビールを造ろうプロジェクト」と称し、「どんなビールがいいか」「ネーミング案」などをお客様と決めながら出資を募りました。一口5,000円の出資は見事に200口を集め、100万円の出資を得ることができ、初めてのオリジナルビールが誕生。

あつろーさん「資金を集めて永野さんに持って行った時はとても驚いていました。後日談を聞くと、100万円を集められなかったとしてもビールつくりに協力してくれるつもりだったことを知って、本当に感謝しかないですね」
初めてのオリジナルビールをつくってから2年後の2018年。ついに自分たちの醸造所を立ち上げるチャンスが訪れます。
あつろーさん「現在『B.M.B Brewery』醸造長を務めてくれている里がジョインしてくれたんです。さらに、横浜で行われた展示会に使用された醸造設備を買い取ってくれないかという話が舞い込んできました。ちょうど補助金の勉強をしていた時だったので、ぜひ買い取らせて欲しいとお願いし、トントン拍子で醸造所の立ち上げが決まりました」
「Beer Market BASE」のオープンから6年後の2018年。宮崎神宮駅近くにある一軒家をDIYして醸造所作りを開始。並行して実施したクラウドファンディングでは目標額400万に対して500万円を越える資金が集まり、ビアパブの頭文字を取った「B.M.B BREWRY」がオープンしました。
「B.M.B Brewery」の立ち上げから6年。コロナ禍の打撃を受け紆余曲折を経ながらも地元宮崎産を使用した、面白くもこだわりのあるビールづくりを続け、2024年7月に清武に第二の醸造所をオープン。前年2023年に実施したクラウドファンディングでは、なんと1,000万円の目標を達成し、宮崎で実施したクラウドファンディングの過去最高を更新しました。
あつろー「新しい醸造所では、缶充填機を導入し、より品質の良いビールをつくることができるようになりました。また、缶は瓶に比べて冷蔵庫で保管しやすくなったので、店舗だけでなく家庭でも「B.M.B Brewery」のビールを楽しんでもらえたらうれしいです」
目指したのはお客様も自分たちもワクワクできるビール
圧倒的な行動力で著しい成長を続ける「B.M.B Brewery」。その直営店舗である「Beer Market BASE」で早速こだわりのビールと食事を味わってみました!
タップ数はなんと16種類。B.M.B Breweryのビール(10種類ほど)に加え、あつろーさんがセレクトした全国のビールも楽しむことができます。
あつろーさん「ラインナップはワクワクしてもらえることやビールが苦手な人でも楽しめるものを意識して取り揃えています。例えば炭酸が苦手という方にはスムージーをおすすめしたりとか。『B.M.B Brewery』ではサワーやスムージーも多めにつくっているので、炭酸や苦味のあるビールが苦手な方にも楽しんでもらえると思います」
「Beer Market BASE」では、ラージサイズを頼むと「B.M.B Brewery」のロゴが印字されたグラスでビールを楽しむことができます!ホップを加えたドクロという斬新で一度見たら忘れられないユニークなこのロゴ。あつろーさんによると「どんな人でもドクロになったらみんな同じ顔。全世界の全てのお酒好きの方が楽しめるビールを届けたい」という想いから、醸造長の里さん含めたメンバーで意見を出し合ってラフ案を作成し、完成したデザインなのだそう。
「B.M.B Brewery」を象徴するロゴには、かっこよさだけでなく、優しくも熱い想いが込められていました。
「B.M.B Brewery」のこだわりは、マンゴーや日向夏など地元宮崎産の食材を使用していることに加えて、飲む人もつくり手もワクワクできるビールであること。
これまでの熱いエピソードと、あつろーさんの素敵な笑顔に感化され、弾むような気持ちを胸に、こだわりのビールをいただきました!
『Jane Doe / ジェーン ドゥ』/ IPL(ラージサイズ:税込1,300円)
「ラガーを造りたい、でも普通のは嫌!」という「B.M.B Brewery」らしさが全開のIPL(India Pale Lagar)スタイルのビール。ホップの香りの心地よさとほど良い苦みに加えて、ラガーならではの爽快感が非常に心地良く最初の1杯にもとてもおすすめのビールです。
ゴクゴク飲めてしまうのですが、アルコール度数は7.0%!飲み過ぎにはご注意を。
『Green Eyes / グリーンアイズ』/Smoothie Sour(ラージサイズ:税込1,800円)

続いていただいたのは見た目から既にワクワクが止まらないスムージーサワービール!
飲んでみるとグリーンキウイやピーチにヨーグルトの風味も合わさった甘酸っぱさ溢れるフルーティーな味わいがたまりません。アルコール度数は4.0%と低めなので、デザート感覚で楽しむことができます。
型にハマらないビールの楽しさを改めて感じることができるだけでなく、南国感を味わえる宮崎ならではの、まさに「B.M.B Brewery」らしさを体現した極上の1杯です。
『日南地頭鶏のソーセージ』(税込850円)
ビールに合わせていただいたのはボリュームたっぷりの日南地頭鶏のソーセージ。豚肉と合わせて宮崎産の鶏肉を使用した珍しいソーセージです!チキン南蛮や地鶏、鶏の刺身など鶏肉を使用した料理が豊富な宮崎県ならではのソーセージ。
豚肉のソーセージより噛みごたえがありながらもしっかりジューシーでビールのおつまみにもぴったり。旅行や出張で宮崎を訪れる方にぜひ試してもらいたい一品です。
誰もがハッピーになれるビールを、より多くの人に届けたい

“ビールからカルチャーへ”をコンセプトに掲げ、既存の枠にハマらない遊び心溢れるビールづくりを続ける「B.M.B Brewery」。ビールのおいしさだけでなく、あつろーさんの人柄はもちろん、ビールへの好奇心や地元宮崎への愛が、多くの人をファンにしているのだと、お話を通して感じました。
最後に今後の展望についてお伺いすると、あつろーさんらしさが溢れる回答が返ってきました。
あつろーさん「ひでじビールさんのように、もっと宮崎の人に愛されるビールを、そして飲んだみんながハッピーになれるような美味しいビールをつくり続けていきたいです。後は、現在一緒に働いてくれる人を絶賛募集しているので、想いに共感してくれる仲間を見つけて、僕は少し楽になりたいですね(笑)」
遊び心に溢れる「B.M.B Brewery」のビールはオンラインストアにて販売中!宮崎に訪れた時にはぜひ、駅からアクセスも抜群の「Beer Market BASE」にて、あつろーさんと楽しい会話をしながらワクワクするようなビールたちを楽しんでくださいね!
Beer Market BASE(B.M.B Brewery)
〇住所:宮崎県宮崎市橘通東3丁目4−31 クラフトビル 1F
〇アクセス:JR宮崎駅高千穂口(西口)より徒歩12分
〇営業時間:17:00〜0:00
〇定休日:月曜日
〇決済方法:現金、各種クレジットカード、電子マネー
〇Instagram:https://www.instagram.com/beermarketbase/