こんにちは。ビアライターのモモコです。皆さん今日も美味しいビールを飲んでますか?
デンマークには「Hygge(ヒュッゲ)」という独特な言葉があるのですが、これは「あたたかな居心地のよい雰囲気、時間」というような意味だそうです。ビールを飲む時にもHyggeを感じる瞬間、ありますよね。居心地のよさを作るお店の雰囲気やインテリアもその大切な要素の1つだと思うんです。今回もHygge(ヒュッゲ)とビールを求めて、三軒茶屋にあるビアバーに行ってきました。
第3回 Pigalle Tokyo(ピガールトーキョー) お話を伺った人:オーナー 山田夫妻(ヒデさん、チエさん)
三軒茶屋駅から徒歩1分。5坪のビアバーは、パリの路地裏の小さなお店、映画のワンシーンに出てくる舞台や遊園地を彷彿とさせます。赤い壁と花々、天井から吊り下がるキラキラとしたボールの装飾。Pigalle Tokyoは日常からほんの少し離れ、独特の心地よさと高揚を感じさせてくれる場所なのです。
大好きな『ヨーロッパ』のビールを三軒茶屋から伝えたい
なぜヨーロッパのビールを三軒茶屋から伝えるお店を作ったのか、早速お話を伺いました。
オーナーでありビール関連全般を担当するヒデさんは、以前ケーキ屋店員やパン職人だった時期がありました。ワインや映画にも興味があり、気付けばその産地であるヨーロッパへと気持ちが動いていたそうです。
そしてビールに惹かれた最初のきっかけは、そのドイツパンのお店で職人だった頃。お店のオーナーはドイツビールが好きで、ヒデさんもその味わいを知り興味を持って色々な種類のビールを飲むようになりました。それが20年前の事。『ヨーロッパ』のビールを扱うビアバーを開くのは自然の流れだったようです。
その後当時では珍しい海外や国産のクラフトビールを扱うビアバーでの勤務を経て、現在のPigalle Tokyoを夫婦2人でオープンしました。
Pigalle Tokyoオーナーの山田夫婦(左)ビール全般を担当するヒデさん(右) デコレーション等を担当するチエさん
三軒茶屋という地にオープンしたのは、お祭りや大道芸などが行われる楽しい街、大好きな街、そして渋谷から電車で約2分とアクセスもいいのにクラフトビールを飲めるお店が当時はなく、「それなら自分たちで作ろう」そう決心したからだそうです。
非日常空間を。フランス映画に出てくる移動式遊園地のようなビアバー
Pigalle Tokyoがオープンしたのは2010年。居抜きでお店を借り、自分たちで店舗の一部を解体、ペンキを塗り天井や壁に装飾をほどこし、可能な部分はDIYで作り上げたそうです。
カウンター側からみた店内。
赤い壁はオーナー兼デコレーション担当のチエさんが好きな色でもあり『日常にない空間』を目指した色。チエさん自身、飲食店に行く時は日常と切り離されこだわりを感じる空間が好きで、それがお店のインテリアにも反映されているそうです。
店内を見渡すと赤い壁に囲まれた室内には花々が咲き、動物の剥製も飾られています。
「移動式遊園地や映画で観たシーン、ヨーロッパへの旅で出会った景色がどこか心に残り、反映されているのでしょうね」と、チエさん。これらは東京のアンティークショップや、旅先で出会い店舗用に購入したそう。
入口側から見た店内。
ところで独創的で華やかな店内装飾とは裏腹に、一見地味な作業に感じる掃除にも徹底的にこだわり力を入れているとか。
「一にも二にも掃除、とにかく掃除! 」「新しい始まりとして空気(気)の入れ替えも大事」
ビアサーバーだけでなく、毎日オープン前には換気を良くして空気を入れ替え、床をしっかり磨き新しい1日とともにお客さんを迎え入れる事を大切にしているそうです。いつ行っても気持良く飲めるPigalle Tokyoの秘密はこんな所にもあるようです。
トイレは小さなミュージックルーム!?
Pigalle Tokyoのこれまた個性溢れるトイレも、ぜひ紹介したい店内スポットの1つです。そこにはバースペースとはまた違った個の空間があります。
店内とは別の音楽がながれる個室に。ここでも定期的にイベントが行われる。
ドアを開けると専用スピーカーから溢れる低音が鼓動に響き、店内とはまた違う音楽が流れます。ミックスCDは、交流があり仲良しな福岡のビアバーBeer Paddy(ビアパディー)や常連の音楽を愛するお客さん、たまたま旅行で海外からPigalle Tokyoを訪れたDJが後にこのトイレのミュージックルームのために選曲したものだそうです。
不定期で写真展などのエキシビジョンもトイレ内で行われています。この斬新なアイデアはヒデさんのひらめきによるものだそうですよ。実際始めて見ると、トイレという小さな制限のある空間の中で、アイデアで作り上げていく事が楽しいそうです。