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お酒は二十歳になってから。

Event 〜これからのニッポンのクラフトビール~七人のSAMURAIによる本音トーク~[2]
自分が飲みたいものをつくりたい!それが本当に愉しいこと

2015/04/27

東京ビアウィークの終盤、4 月 10 日(金)にまだオープン前の代官山 SPRING VALLEY BREWERY TOKYO(スプリングバレーブルワリー東京、以下、SVB東京)にて、行なわれたクラフトビールトークセッションの模様をほぼ全文書き起こしました。日本のクラフトビール業界の蒼々たる面々が登壇したこのイベント。抽選制のイベントだったため、本当はとても行きたかったけれど残念ながら当日行けなかった方も多かったのではないでしょうか。そんな方も、今回このイベントがあったことを初めて知る方にもお楽しみいただけるよう、少しの補足を加えて本邦初公開! 3 連載の第 2 弾、前回公開した第 1 弾もまだの方は合わせてどうぞ!

 

クラフトビール

 


クラフトブリュワーズ・トークイベントとは


4 月 3 日(金)〜 4 月 12 日(日)まで行なわれた“東京ビアウィーク”のメインイベントとしてキリンビールが代官山に新しくオープンするSVB東京にて行なわれたクラフトビール界の重鎮たち7名を集め、日本のクラフトビールのこれまでの歴史や今後をテーマにして白熱した議論を繰り広げたトークセッション。90 分間、延長なしで行なわれた。

▼これまでの記事はこちら
>[ Part1 ]廃れていく地ビールの中生き残ったブルワリーたち。“ビールのためにやる!”


 

 

 

自分のつくりたいビールをつくりたい! それってすごく愉しいこと


藤原:素晴らしい話しをありがとうございました。青木さんからもあったようにこれからの話しをしていきたいと思うのです。長いことクラフトビールとも付き合ってきたけれど、僕は結構大手とも仲良くして来たビアジャーナリストなんだよね、正直言うと。なぜか。うまいもんはうまい、それだけなんだよね。最近、クラフトの定義をすごくよく聞かれるんだけど、定義なんかもうどうでもいいよ、誰がつくろうが美味しいものは美味しいし、誰がつくろうがまずいものはまずい。(一同爆笑) そういうことです。

と思っているんですが、木内さん、今、飲んでて、どうですかね?

 

 

木内弟:田山さん、こっそりうちによく来てたんですよ。こんなことになるなんて思ってなくてですね。この 496* を飲んでるんだけど、これ、大手の技術が詰まったビールだ。大手で二十年間ももんもんと大手でやってた人が出てきて、今、何を考えているんだろう?と。それが一番聞きたい(笑)。

 

*496:現在 SVB で飲める 6 種類のビールのうちのフラッグシップビール。一ヶ月の 1〜31 を足すと 496 日ということから、毎日飲めるビールという意味が込められている。2014 年の 7 月にSVBを発表したときにプロトタイプ版の #496 を発売し、顧客アンケートからの声なども得ながら今回、オープンに合わせ醸造された。

▼関連記事
>ライフスタイルごと楽しむビール明日予約開始のキリン初クラフトビールを飲んでみた。 
>お披露目イベントとビールが発表!キリン「スプリングバレーブルワリー」で飲める6種類とは? 

 

田山:僕はね、自分が飲みたいものを造りたいだけ、これに尽きるじゃないですか。やっぱり、造りたいものばかり造っているわけじゃないんで(笑)。やっぱり制約もありますし。一ビールファンとして飲みたいつくりたいビールもあるけれども、会社的につくらなきゃいけないものもある。そのコンフリクトをここで一気に吐き出したいと思っている。もう、無制限にやりたい。皆さんと一緒に楽しいことをしていきたいと思っていますので、期待してください。

 

 

チャック:ちなみに、我々の醸造所ではまず好きなものを造って飲んで、残りを売ってるだけです(笑)。

 

 

木内弟:うちも色んなクラフトビールの仲間がいまして、日本のクラフト逆なんですね、捨てらんないから俺が飲むしかないっていう(笑)。

 

 

藤原:なんか笑えないですね・・・笑。朝霧さんはどうですか?

 

 

朝霧:自分たちが飲みたいものをつくるっていうのは愉しいんですよね。クラフトビールって頭でっかちに考えないで、うまいものを愉しく飲むっていうのはやっぱりいいなと思っています。例えば地元の原料こういうのがあるから使ってつくってみたら、結果的にうまいものができたらすごい素敵じゃないですか。そういうことの繰り返しの中で、ビールっていいよね! っていうのを感じていただけるといいなと思います。

 

 

青木:田山さんがね、本当につくりたいビールをつくりたいっていうことはね、僕は将来ぜひ独立していただきたいですよね。

〜拍手〜

田山:ありがとうございます。

 

 

ブライアン:いいですか? これね、あのね、おかしいよ。大手が、みんなが飲みたいビールしかつくれないなんてバカバカしいじゃん。それって八方美人のビールだよ。大量生産、大量消費、生産性、誰も嫌われないようにやっている。それが大手の中でクラフトビールの話しをしている、それも皮肉。職人て何? 職人て、自分が納得して、自分の仕事で消費者をリーチすることです。やっぱりね、大手、今までは全然やってこなかった。一方ではまがいものの酒税の安い発泡酒をつくりながら、第三のビールをつくりながら、で他方ではプレミアムの個性的なビールをつくりたい。なんでもかんでもするわけですよ。本当はお金のためにやるんじゃない、まず、ビールのためにやるべき。長期的で、ちょこちょこがんばって、お金は副産物。目標はお金であるべきじゃない。おかしいんだよ。

 

 

 

 

ビールをつくりたい若者を応援したい! 日本にもビール醸造者を育てる学校を


 

青木:あのね、若い人が美味しいビールをのんで、それに憧れて今度は自分でつくりたくても勉強するところがない。アメリカに行くしかない。本当に良くない。

 

 

ブライアン:これ、本当に残念なこと。大手の技術は素晴らしい。僕が大手から習っていることは数えきれないくらいあるんです。ただ、純粋なクラフトの技術や芸術からは半分くらいで。こういう技術を小規模なところで身につけるって日本は何もない。英語で理解できないと勉強できるところは少ない。日本で大手のビールに関する技術はそういった知識を支配しているわけですよ。だからそういう学校は必要不可欠。

 

 

小田:僕がビアジャッジのセミナーやってて、国税局から電話がかかって来て、自家醸造の人たちにそういった技術を教えたらいかんと。僕のところの受講生が自家醸造しようとしているから注意しろと。98年くらいかな、実際にありましたよね。

 

 

青木:免許って僕取ったけど、非常に苦労した。5ヶ月かかったんだけど。それって経験がなかったらすごく大変なんだよね。無理。ビールって発酵だからね、色んなことが起こっている。それが解らないと、つくれないし、免許とれない。

だからね、田山さんにお願いしたいのは、ビールの世界ってのは明治時代からビールメーカーが守られて来た法律だった。個人が参入できる業界じゃなかった。それが、今、クラフトビールをつくれるようになって、今の時代には合わない法律。それが今残っているわけです。だからこうやってクラフトビールに参入して来たのであれば、我々の方に近づいていただいて、若い志のある人たちが独立してクラフトビールのブルーパブをできるような世の中にしていくことに力を貸していただけたらありがたいな、と思いますね。

 

 

田山:僕らもね、税務署と決して結託はしていない。
本当にね、酒税法って今の時代に合っていない部分もある。例えばね、決められた原料しか使えない、ちょっと違うもの入れたら発泡酒になっちゃうとか、もう、本当に理屈に合ってないカテゴリで税金がかかってしまう。ただ、国税としては非常に大きな財源だから相当管理されちゃっている。でも今日、今までの話し聞いてて、非常に共感しているので、会社人生も短いし、できるだけそういうところに貢献できるようにしていきたいし働きかけていきたい。お店のコンセプトでもありますが"Beer is Free"、ビールは自由なんだよっていうものなのに、制限する法律っていうのは現実的にあるので、簡単ではないができるだけそれを崩していくきっかけになれば。

 

 

チャック:クラフトビールの不正な税の徴収について話ししだしたら終わらないよね(笑)。
これはオーストラリアでも 20 年戦ってきました。アメリカではさらに 30 年、40 年も前からこの議論があって実は少し進んでます。アルコール度数ベースで酒税をかけていなかったり。小規模なクラフトビールな醸造所では税率が大手の半分未満を払うことで済んでいるという法律もあります。また、クラフトビールの工場では大手メーカーに比べつくっているボリュームあたりの雇用されている人数が多い。そういう意味では雇用を生んでいるけれど、中々、行政が耳を傾けてはくれていない。

ブライアンの方からクラフトビールの定義について熱く語ってくれたけど、本当に共鳴する。私もそれはこの 30 年間考え続けてきたです。

クラフトビールはあくまでもマインドセット。芸術と技術の融合でできているものだから、それに情熱溢れるビール職人がいないとできない。それに明らかに非常に熱い、そのパッションの持ち主が私の隣に座ってくれています(隣:ブライアン)。ビールの醸造職人が実はクラフトビールの正否を握っている訳です。

 

 

 

日本のビールの世界的な可能性は?


 

 

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yucco/ 瀬尾 裕樹子 アドバイザー

某ブルワリーでの勤務経験をきっかけにビール女子を創刊。ビールの多様性を楽しむビール文化を日本に根付かせるため日々奮闘中。

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