Bar 【東京・下北沢】2人のB-BOYの、HIPHOPな信念で始まったホットドッグ×ビール屋「SUNNY HOP」に行ってきた

2023/11/21

2023年10月上旬。

東京・下北沢を散策していた、仕事終わりのひととき。華金で賑わう街の中心部をよそに、静かな道に歩みを進めていると、ニューフェイスなお店がポツリと1軒誕生しているのを発見。


店先の「クラフトビール」という言葉が目に飛び込んだ瞬間、頭で考えるより先に足が動き、店内に吸い寄せられました。

すると…


!?!?!?!

かわいすぎる………!!!

撮影スタジオのような、ポップでイカした店内に一瞬で心を射抜かれました。

そのまま夢見心地で1杯のビールを嗜み、帰路につくも、ずっとお店のことが頭から離れない。


どうしても気になって、Instagramで調べてみると…


■第一線で活躍するB-BOY(※1)が営む
■“ホットドッグ×ビール”のお店
■自分たちのオリジナルビールも造っている
※1 ブレイクダンスを踊る男性のこと。女性は「B-GIRL」。

……なんだそれ、興味しかない〜〜〜!!!上がりまくるバイブス。


お店の名前は「SUNNY HOP -BEER & HOT DOG SHOP-」(以下、SUNNY HOP)。

芯のあるかっこいい2人のB-BOYとその仲間たちによる、HIPHOPな信念で始まった“ホットドッグ×ビール屋”の魅力を、ぜひ皆さんにも知ってもらいたいと思い、取材へ赴き深掘りしてきたので、たっぷりご紹介します。

check it out!



おもちゃ箱をひっくり返したような店内


下北沢駅より1駅新宿寄りに位置する、小田急線・東北沢駅から徒歩5分の場所にあるSUNNY HOP。目を引く明るいオレンジと、温もりあふれる木目調が目印です。

店先には、太陽の光が心地よく降り注ぐテラスも。ペットを連れて一緒にひと休みもOK!


黄色を基調とした店内には、テーブル・椅子が16席散り散りと並びます。カウンター席もあるので、ひとりでも入りやすいです。


そして店内の目玉は、なんといってもこのフワッフワな特等席「ホットドッグソファ」!もうたまらなく可愛い。

こんなにもSUNNY HOPにドンピシャなソファですが、特注ではなく、家具屋さんで運命の出会いをして、お店にやってきたのだそう。そんな奇跡ってあるんだなあ、、


他にも、そこかしこにかわいいグッズが溢れていて、360度楽しい。まるでおもちゃ箱の中にいるみたい。


B-BOYが営むホットドッグ屋さん

(左から)オーナー CRUDEさん、店長 Shimperorさん
そんなSUNNY HOPを営むのは、B-BOYとしても第一線で活躍するオーナー・CRUDEさんと、店長・Shimperorさん

B-BOYとしては、「DROPZ」というチームでプレイヤーとして活動している他、バトルの審査員、その他ダンスイベントのMC・司会、ダンスイベントの運営・企画しているお二人。直近では、ドイツでスタートしたブレイクダンスの世界大会とも言われる「Battle of the Year」が、2022年に日本で開催されることになり、その運営を手伝っていたのだとか。凄い人たちだ…!

でも、B-BOYとしてバリバリ大活躍しているお二人が、どうしてホットドッグ屋さんを営むことになったのでしょうか?



ー遡ること、2020年。2人は、6名のストリートダンサーによるチーム「NAME」のメンバーとしても活動していました(チームには現在も所属中)。

踊るだけでなく、自分たちが大切にしているストリートカルチャー(※2)を世間に広めることにも努めていた皆さんは、活動の一環として、最初は小さいダンスのイベントや、学生たちに対するダンスのワークショップ等を行っていたのだとか。なかでもCRUDEさんは、「それらをビジネスに落とし込むことで、今以上にストリートの文化を広める活動がしたい!」という想いがひしひしと芽生えていたそう。
※2:1970年代、ニューヨークで始まったヒップホップを中心としたカルチャーのこと


そんななか、アメリカ留学に行っていたShimperorさんが、留学先でうまいホットドッグに出会い、「いつかプール付きのホットドッグ屋さんを開きたい!」という夢を持って日本に帰国。

その夢を聞いたNAMEのメンバーは、「“お腹が空いたら行く場所(=飲食店)”であれば、ストリートカルチャーに触れたことがない人にも来店してもらえて、間口を広げる機会として最適なのでは」と考え、Shimprorさんの夢とマッチ!

周りの協力もあって、晴れて秋葉原にSUNNY HOPの前身「SPELL’s」を2020年6月にオープンしました。

それから3年の月日が経ち、いろんな文化に対して寛容な街「下北沢」を拠点としたいという想いから、移転という形で「SUNNY HOP」に生まれ変わり、クラフトビールという要素をプラスして舵を切ることに。


ちなみに、店内の装飾の一部に「SPELL’s」時代のカセットコンロがあります。

SUNNY HOPのキッチンは広々としているけど、前はこのカセットコンロ一台でホットドッグ作ってたんですよ。それもいい思い出だなと思って、今は飾っています。」と、Shimperorさん。

2人の思い出と、お肉の油が染み込んだ元相棒をみて、こちらまで「下北沢にやってくるまで支えてくれてありがとな…」とノスタルジックな気持ちになってしまいました。


ふわふわなジャパニーズホットドッグ


もともと、Shimperorさんがアメリカ留学で出会ったことがきっかけとなり、始まったホットドッグ屋さん。留学してた頃、若くて裕福とは言えない生活を送っていたため、コンビニのホットドッグを毎日のように食べていたそうですが、そうしているうちにその魅力にどんどんハマることに。ロサンゼルスにはロールモデルとしている大好きなホットドッグ屋さんもあるのだとか。

ホットドッグは、「パンにソーセージを挟んだもの」といったように結構シンプルなイメージを持つかもしれませんが、実はとっても奥が深い食べ物。本場・アメリカのホットドッグは、州によって食べ方も見た目も異なり、個性的です。



食のクリエイティブディレクター・TETOTETOの井上豪希さんによるレシピ監修のもと、SPELL's時代に一緒に飲食を担当していたメンバーが共に作ったSUNNY HOPのホットドッグは、日本人の舌に合うように作られた、いわば“ジャパニーズホットドッグ”!

例えば、ケチャップとマスタード。既製品を使うお店が多い中、ケチャップには醤油を、マスタードには白味噌や白だしを隠し味に使い、一から作っています。そのため舌馴染がよく優しいお味に。

また、牛豚の合い挽き肉を使用したソーセージは、旨みを引き出すためにいろんなスパイスを調合し、一晩じっくり寝かせたタネを手作業で腸詰めしているこだわりっぷり。今回の移転を期に、自慢の自家製ソーセージに合うような4種類のホットドッグをShimperorさんが追加で考案しました。

現在は5種類提供されていますが、そのうちの2種類を味わってきたのでご紹介します!


■CLASSIC(税込900円)
SUNNY HOP定番のクラシックスタイルで、もっともシンプルにSUNNY HOP流のホットドッグを楽しめます。

ここのホットドッグは、まずパンがフワッフワ!雲を手にしているのかと思うくらい柔らかく、ソーセージのジューシーな肉汁やザワークラウトの酸味など、中の具材たちの良いところがギュッとパンに染み込んでいき、味わいに一体感が。ケチャップとマスタードもまろやかなので、小食な人もペロッといけちゃいます。


■ASIAN DOG(税込1,200円)
個人的おすすめドッグ!レモンとパクチーがたっぷり入っているのですが、癖が全くなく爽やかな味わいで、一口頬張った時から虜になってしまいました。他のホットドッグを食べても、私はきっとこれに帰ってきてしまう。パクチーokな人は絶対食べて欲しい〜!

今後は定番も増やしていくだけでなく、シーズナルのホットドッグも定期的にリリースしていくとのこと!


CRUDE BEERと、ご縁でできたラインナップ


そして、SUNNY HOPに生まれ変わってから、お店の看板アイテムとして加わった「クラフトビール」。


タップは最大5種、ボトルは約15種類提供。ボトルは国内外問わず販売していますが、タップは国内に絞っていて、CRUDEさんたちが直接お会いしたご縁のあるブルワリーのビールを繋いでいます。


お伺いした日のタップリストを見ていると、「KUNITACHI BREWERY」「VERTERE」「Y.MARKET BREWING」……の並びに、これまで見かけたことのなかった「CRUDE BEER」の文字が。

そう、これこそが「SUNNY HOP」の自社ビールブランドです!SPELL’s時代だった2021年に立ち上げたブランドで、現在は東京都国立市の「KUNITACHI BREWERY」にて委託醸造しています。SPELL’sでも提供していたそう。


ここで1つ、おもしろいエピソードを。

なんと実は、愛知県名古屋にある「Y.MARKET BREWING」のブルワーさんの中にもB-BOYがいるらしく(!)、「CRUDE BEER」を立ち上げたばかりの頃にその方と繋がったのだそう。

そんななか、Y.MARKETのB-BOYさんから『委託醸造できて、おいしいビールを造るブルワリーを教えるよ!』と紹介してもらったのが、音楽とクラフトビールのカルチャーを繋げる、東京・日本橋のブルワリー「CRAFTROCK BREWING」。ぜひうちで醸造したい!と言ってもらえたものの、小ロットで醸造をしたかったCRUDE BEERには、CRAFTROCKの規模が見合わず…

そこで、『おいしいビールを造る他のブルワリー(KUNITACHI BREWERY)を紹介するので、醸造はそちらへ委託し、うちではレシピだけ協力する、という形をとるのはどうでしょう?』とCRAFTROCKの社長から提案があり。

結果、「レシピ作成:CRAFTROCK BREWING」「醸造:KUNITACHI BREWERY」という頼もしい協力体制のもと、今の「CRUDE BEER」が完成したのだそう。

痺れるーーー!!!

Y.MARKET BREWINGにB-BOYがいること。そのご縁で「CRUDE BEER」ができていること。しかもCRAFTROCK BREWINGも、KUNITACHI BREWERYも、SUNNY HOPと同じく音楽などの文化を大切にしているという親和性があること。

音楽とビールが大好きな私は、そのエピソードだけで酒が進みます。


「CRUDE BEER」は、現在はオープン記念に醸造した『It's Just Begun』1種のみ醸造。ビアスタイルはWEST COAST IPAで、ガツンと苦みを感じつつも、スッキリとした飲み口で永遠におかわりしていたくなるような1杯です。

定期醸造をしているわけではないので、お店で提供していないタイミングもありますが、今後は定番ビールとして常時提供される予定です。2023年11月時点での情報としては、次回開栓は2024年1月を目標にしているとのこと。

開栓したら、皆さんぜひ飲んでみてください。私は、ビール名にもあるJimmy Castor Bunchの「It's Just Begun」を聴きながら身体に流し込みたい!!!!




ちなみに、ビール以外のドリンクにもこだわっていて、全てハンドメイドなのが特徴。
写真左から、ハンドメイドシェイク「チョコバナナ」「黒ごまアボカド」「ココナッツミックスベリー」

「シナモンアップルティー」「塩レモンスカッシュ」などスッキリしたドリンクや、デザートにもなるようなシェイクまで揃います。

ビールが飲めない日でも、お連れさまがビールを飲めなくても大丈夫!思い思いの楽しみ方をしてくださいね。


また、SUNNY HOPのロゴが入ったかわいいグラスは、グッズとして販売もしています。グッズも今後増やしていくとのことなので、要チェックです!


HIPHOP“に”生きる。


単なるファッションではなく、自分の確固たる信念として、“HIPHOP”、そして“ストリートカルチャー”を自身の人生に投影しているCRUDEさん。

ダンスを始めたのは、8年前の大学生の頃ですが、人生をダンスに注ぐほど熱中したのは、音楽に乗って踊ったり、自分のスタイルをぶつけ合って戦ったりするのが好きなことだけでなく、ダンスが自分の生き方を見つけられたツールだったからだと思います。HIPHOP“で”生きたいんじゃなくて、HIPHOP“に”生きたいんです。』と話してくれました。

学生当時、HIPHOP界のレジェンドの“ HIPHOP IS YOU.”という金言を知ったとき、「自分がありたい姿を踏まえ、やりたいことを考えていきたい。自由に生きていく選択をしたい。それが俺のHIPHOPな生き方なんじゃないか」と考えついたのだそう。

それから、自分のありたい姿を踏まえて、やりたい事として行き着いたのが、《カルチャーの社交場を作る=ホットドッグ屋さんの実現》でした。


  • いろんな文化が入り混じる下北沢で、自分たちの色である「ホットドッグ・クラフトビール・B-BOY」と、来てくれたお客さんや近隣のお店が持つ文化が混じり合い、新しいカルチャーが生まれる場所としてありたい、と考えているSUNNY HOP。これからどんな楽しい出会いがここで生まれていくのか、楽しみです。

SUNNY HOP オープニングスタッフの皆さん

また、今後はイベントも積極的に開催していくとのこと!

その企画力はもちろん素晴らしく、SPELL’s時代には、お店の2周年を記念して日本橋のホテルを一棟貸切にし、豪華ゲストを招いて都市型フェスも開催したり。ゲストには、私の大好きなダンスユニット『botanic』も名を連ねていました。激アツすぎる…


「晴天の時は心が晴れるように、SUNNY HOPを訪れた時は“おいしい・楽しい”を受け取って、晴れた心になって欲しい」という想いが店名の由来であるSUNNY HOP。

フワッフワのホットドッグ、おいしいビール、そしてHIPHOPを味わいに。一度足を運んでみてください。

 SUNNY HOP -BEER & HOT DOG SHOP-

〇住所:東京都世田谷区北沢4丁目5−3 北沢ビル 1F
〇TEL:03-6407-9537
〇交通:小田急線 東北沢駅から徒歩5分
〇営業時間:11:00-23:00(Food L.O 22:00 Drink L.O 22:30)
〇定休日:月曜
〇座席数:店内16席、テラス6席
〇喫煙・禁煙:全席禁煙
〇Instagram:https://www.instagram.com/sunnyhop_shimokita/

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sakko 編集長

「ビール女子」編集長。記事の企画・編集やイベントの運営を担当。小さい頃から、両親が毎日ひたすらビールを楽しそうに飲む姿を見てきたため、「私もきっとビール好きなのだろう」という根拠のない自信と、「大人になったらおいしく楽しくビールを飲みたい」という夢を抱いて育つ。そして、20歳の誕生日を迎えてすぐベルギービールの店で働きはじめたところ、案の定魅了されてビールの世界にどっぷり浸かり、今に至る。

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